自損事故保険
自損事故保険は、相手のいない単独事故や相手のある場合でも自分に100%過失がある事故などにより契約車に乗車中の人(運転者や同乗者)が死傷した場合で、自賠責保険や政府の自動車損害賠償保障事業では補償されないとき支払われる保険です。
この保険の大きな特徴は、自賠責保険での他人に該当しないことによって補償を得られない運行供用者(自動車の所有者や運転者)や対人賠償責任保険で支払い対象外になっている運転者本人に対する補償を補完している点にあります。
具体的には以下のようなケースが自損事故に該当します。
- ガードレールや電柱、立ち木に自分で突っ込んだ場合
- 自分の居眠り運転が原因で事故を起こした場合
- 自分のハンドル操作ミスで崖から転落した場合
- 正規の場所に停車中の自動車に追突した場合
- センターラインを越えて対向車に衝突した場合(相手に過失がない場合)
- 自分の信号無視が原因で事故を起こした場合
- 突然道路が陥没し、自動車が落下してケガをした場合
以上のような事故では、自動車を運転していた人や自動車の所有者などは、損害賠償を請求する相手がいないとか、相手に過失がないために損害賠償を請求することができません。このような場合に、自損事故保険の保険金が支払われることになります。
例えば、自動車の所有者であるAが運転手、助手席にその配偶者B、後部座席に子供Cが搭乗していて上記した自損事故を起こした場合、配偶者Bと子供Cは自賠責保険における他人となり保険金支払いの対象にあたることから、自損事故保険は適用されません。しかし、運転手Aは自賠責保険での運行供用者であり、任意保険の対人賠償責任保険においても支払いの対象とならないので、どちらからも補償が得られない状態になります。この状態でAを救済するのが、自損事故保険の目的です。
なお、このようなときも搭乗者傷害保険が付保されていれば、自損事故保険の保険金とは別に、搭乗者傷害保険の保険金が支払われます。
自損事故保険の被保険者
自損事故保険の補償を受けることができる被保険者は、次いずれかに該当するの者です。
- 自賠法上の被保険自動車の保有者(無断借用運転者、泥棒運転者を除く運行供用者)
- 自賠法上の被保険自動車の運転者(業務中の運転者者や運転助手)
- 自賠法上の被保険自動車の保有者、運転者以外の者で、被保険自動車の正規の乗車装置または当該装置のある室内に搭乗中の者
正規の搭乗位置規定の例外
被保険自動車の正規の乗車装置または当該装置のある室内に搭乗中の事故が、自損事故保険で保険金が支払われる要件ですが、自動車の所有者と運転者には例外が認められていて、車外にいても支払いの対象になります。例えば、坂道で、故障した自分の自動車を修理中に、誤ってひかれてしまった場合などは、自賠責等の補償を受けることはできませんが、自損事故保険の保険金の支払を受けることができます。
自損事故保険で支払われる保険金の種類
自損事故保険では合計額1500万円を限度として次のような保険金が支払われます。
死亡保険金
被保険者が死亡した場合、被保険者1名につき1500万円を限度に死亡保険金が支払われます。死亡保険金が支払われる際は、すでに支払われた保険金は除いて支払われます。
自損事故保険の死亡保険金の上限を1500万円に設定しているのは、この保険金を受け取る事故の大半は、被害者に重大な過失があると考えられるためです。自賠責でも被害者に重大な過失があるときに減額される場合がありますが、自賠責の死亡保険金限度額3000万円の50%減額という計算が、限度額を1,500万円としている根拠といえます。
後遺障害保険金
被保険者に後遺障害が生じた場合、後遺障害の程度に応じて被保険者1名につき50〜1500万円の後遺障害保険金が支払われます。
介護費用保険金
被保険者が重度の後遺障害(両眼の失明、両足の切断等)を被り、介護が必要と認められた場合、その程度に応じて被保険者1名につき350万円を限度に介護費用保険金が支払われます。(介護費用保険金は後遺障害保険金と別枠で支払われます)
医療保険金
被保険者がケガをして医師の治療を要した場合、平常の生活または業務に従事することができる程度になおった日までの入院・通院の治療日数に対して医療保険金が支払われます。
- 入院の場合、被保険者1名につき1日あたり6,000円(100万円を限度)
- 通院の場合、被保険者1名につき1日あたり4,000円(100万円を限度)
自損事故保険で保険金が支払われない場合
自損事故保険では、次のような傷害に対しては、保険金は支払われません。
- 被保険者の故意によって、その本人に生じた傷害
- 被保険者が無免許運転、酒気帯び運転、麻薬等の薬物服用中の運転をしている場合にその本人に生じた傷害
- 被保険者が、正当な権利を有する者の承諾を得ないで、被保険自動車に搭乗中(無断借用運転中)に生じた傷害
- 被保険者の闘争行為、自殺行為または犯罪行為によって、その本人に生じた傷害
- 保険金を受け取るべき者の故意によって生じた傷害(その者の受け取るべき金額部分)
- 戦争、外国の武力行使、暴動、内乱などによって被保険者に生じた傷害
- 地震、噴火、津波などによって被保険者に生じた傷害
- 核燃料物質などによって被保険者に生じた傷害
- 自動車修理業、駐車場業、給油業、洗車業、自動車販売業、陸送業、運転代行業等自動車を取り扱うことを業としている者が、被保険自動車を業務として受託している間に、被保険者に生じた傷害
自損事故保険は、対人賠償責任保険を契約すると自動的に付保されます。契約時に、自損事故保険の保険金額を設定することもなく、特約保険料を支払う必要もありません。そのため、存在自体を知らない人も多いようです。「自分が全面的に悪い事故だから・・・」と勝手にあきらめず、保険会社に報告を入れ、相談するとよいでしょう。
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