自賠責保険の保険金の請求
自賠責保険は、その目的が被害者の救済であることから、加害者からだけでなく、被害者から保険金を請求することも可能です。仮に加害者がその事故で死亡したり、意識不明になったり、逃げてしまって行方不明になった場合でも、被害者請求ができるようにすることで被害者が救済されるようになっています。
請求の種類
保険金の請求方法には、本請求、仮払い請求、内払い請求、一括払い請求の4種類があります。
本請求
本請求には加害者請求(自賠法15条)と被害者請求(自賠法16条1項)があります。
- 加害者請求
- 自賠責保険に加入している加害者が被害者に損害賠償金を支払ったうでその実際に支払った限度で、自賠責保険会社に対し、領収書その他必要書類を添えて保険金を請求する方法。
- 被害者請求
- 被害者が加害者の加入している自賠責保険会社に対し、必要書類を添えて、直接損害賠償金の支払いを請求する方法。
ただし、加害者から直接支払いを受けた金額については保険金から除かれます。
仮払い請求
被害者に対する損害賠償は、本来、加害者に事故の責任があることや賠償金額が確定してからなされるものであり、請求から支払いまで相当日時がかかってしまいます。
しかし、それでは被害者が治療費や葬儀費用などの当座の支払いに困窮する場合があることから、被害者の当座の出費にあてるために、仮渡金が請求できます(自賠法17条)。
仮渡金の金額は、次の通りです。
- 死亡の場合 290万円
- 傷害の場合 傷害の程度に応じて 5万円、20万円、40万円
この仮払い請求を請求できるのは被害者のみで、加害者は請求できません。
内払い請求
傷害による損害について、被害者が治療継続中のため損害額の総額が確定しない場合でも、すでに発生した損害額が10万円を超える場合には、被害者または自賠責保険に加入している加害者は、10万円単位で内払い金の請求をすることができます。
加害者がこの内払い請求をできるのは、被害者にすでに自分のお金を払っているときだけです。自分のお金を渡すときに領収書を受け取っておく必要があります。
この内払い金は、傷害による損害の保険金額120万円に達するまで支払われることができます。
一括払い請求
加害者が、任意の対人賠償保険に加入している場合、この任意保険は、自賠責保険の上積み保険ですので、本来から言えば、任意保険会社は自賠責保険でまかなえない損害のみを被害者に支払えばよいことになります。
しかし、それでは被害者が自賠責保険会社と任意保険会社の両方に請求しなくてはならなくなってしまいます。そこで被害者の便宜を図るため、この任意保険会社が窓口となって、被害者に対して、自賠責保険の支払い分もまとめて支払う一括払い制度があります。この窓口となった任意保険会社は、被害者に自賠責保険の支払い分を立て替えて支払った後、自賠責保険会社より自賠責保険金を受領することになります。
この制度により、自賠責保険会社と任意保険会社に対する請求手続きが一本化されるので、被害者にとって二度手間が省けるという利点があります。
この一括払い請求は、加害者、被害者のどちらからでも行えます。
ただし、次の場合には一括払い請求はできません。
- 任意保険の対人賠償責任保険の支払い対象事故でない場合
- 明らかに自賠責保険の保険金の範囲内で支払いが可能な場合
請求権の時効
以上の自賠責保険の請求権は請求権発生から2年で時効になります。請求権が時効になりそうな場合は保険会社に時効中断を申し出ることができます。ただし、ひき逃げなどに対する政府の自動車損害賠償保障事業への請求については時効の中断はできないので注意が必要です。
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